製品技術

USB Audio Class 1.0 非同期モード採用機種〈RAL-2496UT1/RAL-2496HA1〉

パソコンからUSBケーブルを介して転送される音楽データは、アイソクロナス転送と呼ばれる「一方的にパケットデータを送信」する方式が採用されています。このアイソクロナス転送によって転送されるデータをUSBオーディオ機器が信号を受け取る方法には3つのモード(同期モード、アダプティブモード、アシンクロナスモード)が存在します。

音楽データは同期モードで転送されることは少なく、多くのUSBオーディオ機器はアダプティブモードで動作しています。アダプティブモードとは、パソコンより1ms間に伝送されたデータ数から算出されたサンプルレートを元にPLL回路でクロックを生成する方式を採用しています。パソコンから転送されたデータはノイズの影響を受けやすく安定性を欠くため、SOFの転送される間隔は一定ですが、転送されるデータのタイミングは一定ではありません。そのため、USBオーディオ機器のPLL回路で生成されたクロックデータも転送されるデータの揺らぎに影響され、PLL回路で復調されたクロックデータも常に変動(揺らぐ)することになります。ジッターによる影響を受けやすいアダプティブモードを多くのメーカーが採用する理由は、導入が安易なファームウェア内蔵のUSBコントローラーの多くがアダプティブモードに対応するためです。また、アシンクロナスモードに対応するUSBコントローラーを採用するには、独自ファームウェアを組み込む技術が必須となります。<図1>

弊社製品(RAL-2496UT1/RAL-2496HA1)が採用するUSBコントローラーは、ファームウェアを組み込むことができるUSBコントローラー(TI社 TAS1020B)です。このICに組み込まれるファームウェアは弊社独自で開発されています。
パソコンのデータ転送のタイミングに影響されないファームウェアを採用し、パソコンから伝送されたサンプリングデータからサンプルレートを決定。アイソクロナス転送されたデータのタイミングに影響されることなく、内部に実装された独自クロックでオーディオクロックを生成し、オーディオストリームに変換します。これにより、パソコンから一定間隔で伝送されないデータに起因するジッターの原因を取り払い、タイミングの正確なデータをD/Aコンバーターに供給することができます。弊社の採用する転送方式は、アダプティブモードとして見かけ上は動作していますが、前記した通り、内部動作はパソコンとは非同期で動作する仕組みになっています。このため、一部のOSで不安定な動作が認められるアシンクロナスモードを採用せず、パソコンのデータ転送タイミングに影響されない非同期(アシンクロ)動作を実現しています。<図2>

採用機種